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Farmlogsは農業ICTの本命になるか。

heatmap_Farmlogs

アメリカの農業ICTベンチャー「Farmlogs」が、4億円強の資金調達に成功した、という記事が出ていましたね。

http://mashable.com/2014/01/15/farmlogs/

 

Farmlogsの機能は、農作業を計画し記録・管理できること、天候予測が届くこと、そして穀物市況が分かること、です。多くの農家がFarmlogsを活用していくことでビッグデータ化が進み、将来的にはプロ農家に対する農業経営効率化ツール&情報を吐き出せるようになることが、彼らの戦略です。導入する農家も飛躍的に伸びており、「スマート(効率化)農業」の旗印として今後の成長が期待されています。

Farmlogs:  http://farmlogs.com/

 

一方で、日本では、AKISAI(富士通)やアグリノート(ウォーターセル)などが、生産管理・支援アプリケーションとして開発されていますが、農業現場における普及は依然進んでいません。Farmlogsがアメリカで急速に普及し、大型の資金調達に成功する中で、日本の農業ICTがなかなか普及しない理由はどこにあるのでしょうか。

まず、根本的に違う点は、Farmlogsはアメリカの(大型の)穀物農家をメイン・ターゲットにしていることです。

①「単一作物」に集中できるため、ビッグデータ化の効率が良い
↔(日本の場合)生産自体が少量・多品種(同じ野菜でも使う種苗が数十種類ある)上に、農法が複雑・多様なため「大数の法則/有意義な相関」が働きにくい。

②大規模露地穀物生産者の最大の関心は「天候(雨量)」。
 ↔(日本の場合)天候も重要ではあるが、インフラや施設が整っているプロ農家にとっては、農法や作業(使用肥料・農薬・技術など)の高度化が重要なテーマ。

③「機械化」が進んでいて、データ入力や自動計測・記録に向いている。
↔(日本の場合)機械による画一的な作業が少ない。手作業が多く、そもそもスマートフォンやパッドの持参・作業中の入力すら現実的ではない。

④「大人数による作業分担」の必要性が高い。
↔(日本の場合)小規模・家族経営が中心で、大人数向けに「工程設計・分担」する必要性が低い(対話と経験で埋めているため、必要性があっても感じていない)

 

日本や東南アジアでも大型農家は存在しますが、圧倒的多数は(世界的に見ても)小規模な野菜農家ですので、(現時点の)Farmlogsが日本や東南アジアに入ってきても、なかなか広がらないだろうなと思います。とはいえ、小規模の、多品種少量生産の農家すべてに利用してもらえる農業支援システムとなると、膨大な開発費がかかります(実際、どれだけの補助金が現場で使われないアプリ開発に使われてきたことか…)。

逆説的ですが、今の日本の農業ICTこそFarmlogsのように「一点突破」が重要です。農業ICTに関心があり、導入を考える農家は大手の施設園芸農家である現状を考えると、モンスーン地域に特化した施設園芸・環境制御農業(トマト、パプリカなどの果菜類や花卉の生産)支援システムなど、クラウド化(ビッグデータ化)に向く分野でのサービス開発が、今の日本の農業ICT分野の取り組むべき課題ではないでしょうか。

藤本 真狩神戸大学経済学部を卒業後、京都大学医学研究科在籍…

岩崎 亘静岡県伊豆地方のみかん専業農家の長男。早稲田大学…

キクチ シン金融業界やコンサルティング業界から、農畜水産・食…

二瓶 徹大学院で農学と社会学を専攻し、農水省所管法人にて…

金田光市多摩大学経営情報学部卒。株式会社アイ・エム・エー…

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